ごあいさつ

本日は「なごみ管弦楽団」第一回定期演奏会にお越しいただき真にありがとうございます。

この 1 年間、細々と、という表現が最も当てはまるような練習と準備を続けて今日を迎えることができました。本日のお客様の中にはよくご存知の方もおいでになると思いますが、近年のアマチュア演奏団体は、特に大都市圏において、高校や大学のオーケストラの卒業生を軸に結成されたり、何らかの愛好テーマを軸に無縁のメンバーが集まったり、あるいはそれらの要因が重なったりして結成された結果、驚く程の団体数になっています。この状況の中で、多くのパートの演奏者を必要とする団体の活動を、様々な苦労もしながら続ける根底には、「音楽を発信することが好きだ」、「合奏を楽しみたい」、という思いがあり、これが高まって、「自分達の音楽を聴いてもらいたい」、という思いになります。

本日のプログラムは知名度の高い名曲揃いで、我々の技量では名演とは参りませんが、「熱い思い」をこめてお届けしたいと思います。なごみ管弦楽団 団員一同

曲目紹介

◇モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲

歌劇「魔笛」はモーツァルト(1756-1791)の最後のオペラの序曲。

1791年に作曲されたジンクシュピール ( ドイツ語脚本の歌芝居 ) で、彼はこの曲を完成して約 2 ヶ月後に、35 才で亡くなっている。知人の興行師シカネーダーの委嘱によって書かれた。シカネーダー ( 初演時、パパゲーノを演じる ) は当時ヨーロッパ各地を巡業していた旅一座のオーナーで、モーツァルトとはザルツブルク時代の知り合い。モーツァルトが宮廷劇場向けの仕事でもないのに何故請負ったか。これまでモーツァルトに台本を提供してきたダ・ポンテがスキャンダルに巻き込まれて王室から解雇される。サリーエリがウィーンの宮廷楽長の座にいるために、ダ・ポンテのいない宮廷劇場からモーツァルトにオペラの話がくる可能性がなくなっていただけに、シカネーダーからの依頼にモーツァルトが飛びついたのは自然なことだった。

ストーリはエジプト版「竹取物語」。架空の世界。王子タミーノが大蛇に襲われ気を失う。世界征服を狙う「夜の女王」の侍女が大蛇を退治。たまたま通りかかった鳥刺しのパパゲーナが自分が大蛇を退治したと嘘を付く。侍女達から女王の娘パミーナの絵姿を見せられた王子タミーナは一目惚れ。「夜の女王」は悪人ザラストロの神殿に捕われている娘パミーナを救い出せば王子に与えると約束。ザラストロは実は悪人ではなく偉大な司祭。

タミーノとパパパゲーノにパミーナを得るための数々の試練を授ける。タミーノは「魔法の笛」の力を借りてパミーナと試練を乗り越える。一方パパゲーノは辛抱嫌いで試練から脱落するものの「魔法の鈴」の力でパパゲー”ナ”と出会い恋人に。この状況では世界征服を企む「夜の女王」は黙っていられない。自らザラストロの神殿に侵入。しかし、雷に打たれ闇夜に落ちる。司祭ザラストロは試練に打ち勝ったタミーノ、パミーナたちを祝福して、太陽神の子オリシスとイシスを讃えたのだった。(Holst)

◇ビゼー/「アルルの女」 第 1 組曲・第 2 組曲

オペラ「カルメン」で非常に有名なフランスの作曲家ビゼーですが、もう一つ、彼が書いた作品で有名な曲が存在します。それが、今回演奏します組曲「アルルの女」です。

ビゼーが作家ドーデによって作られた戯曲のために書いた劇付随音楽「アルルの女」の中から 4 曲を選び、発表したのが第 1 組曲でした。この組曲の初演は大好評で、これ以降、各地のオーケストラ・一般の人々から支持され、頻繁に演奏されるようになりました。

第 2 組曲は、ビゼーの死後、さらに良い音楽が残っているのでは ? と感じたビゼーの親友、エルネスト・ギローが、他の 4 曲を選び編曲したものです。その中の「メヌエット」は、フルートの独奏曲として最もよく知られており、しばしば他の楽器でも演奏される名曲ですが、実はビゼーの歌劇『美しきパースの娘』の曲をギローが転用したものなのです。

【あらすじ】主人公の農夫フレデリはアルルの町で美しい街の女 “ アルルの女 ” と出会い、激しい恋心をおぼえ、結婚しようとします。しかし親はそれを認めず、幼馴染のヴィヴェットとの婚約を勧めます。“ アルルの女 ” を諦め、ヴィヴェットとの結婚を決めたフレデリですが、結婚式の夜に悲劇が起こります。“ アルルの女 ”への思いを再び燃え上がらせたフレデリはついには錯乱状態になり、引き止める母親を振り切り中庭に身を投げてしまいます。

【どうでもいいトリビア】劇内で非常に重要な位置にある「アルルの女」ですが、驚いたことに、実際の劇ではまったく登場しないのです。人にはそれぞれ好みというものがあるように、美人の基準というものも人それぞれだからドーデさんはあえて登場させなかったのでしょうか?

フランス – イタリアの国境近くにあるアルル地方の女性は美人が多いのでしょうか?かのゴッホも 「アルルの女 ( ジヌー夫人の肖像 )」 という作品(去年 5 月にNY のオークションにて超高額で落札されたアレです)を残しています。(統)

◇ベートーヴェン/交響曲第 5 番

ベートーヴェン/交響曲第 5 番

ベートーヴェンの交響曲第 5 番は、全ての交響曲の頂点に立つ名作と言っても過言ではない、まさに名曲である。ので、今更解説などする必要も無いかも知れない。更に名曲というだけでなく、当時この交響曲は革新的なものでもあった。

・今まで交響曲で使われることの無かった楽器の追加この交響曲で始めてトロンボーン、コントラファゴット、ピッコロが追加されている。

・ストーリー、メッセージ性のある楽曲

絶望から栄光への勧善懲悪のような分かりやすいカタルシス、また、各楽章にはフィナーレへの伏線が散りばめられ、交響曲全体のストーリー性をより高めている。

・フィナーレの重視

今までの交響曲ではあまり重視されることの無かった、フィナーレがこの交響曲では最重視されている。それは、前述した楽器の追加、またフィナーレへの伏線にも顕著に表れている。追加された 3 つの楽器は第4 楽章にのみ登場し、フィナーレをより盛り上げているのである。

また、ジャジャジャジャーン!という、あまりに有名なフレーズから始まる第 1 楽章も、当時としては革新的なものであった。このように不安定な始まり方をする交響曲は存在せず、こういった要素も、革新的な部分のひとつとして数えられる。(caret)